天台宗（てんだいしゅう）は大乗仏教の宗派のひとつで、妙法蓮華経（法華経）を根本経典とするため、天台法華宗
（てんだいほっけしゅう）とも呼ばれます。顕教と密教双方の特徴を兼ね備える仏教なので、儀礼的にも、「法華経」
と「阿弥陀経」あるいは「大日経（光明真言）」を唱えるなど、両面の要素があります。

真言宗（しんごんしゅう）は、空海（弘法大師）によって9世紀（平安時代）初頭に開かれた、日本の仏教の宗派で、
真言陀羅尼宗（しんごんだらにしゅう）、曼荼羅宗（まんだらしゅう）、秘密宗（ひみつしゅう）とも称します。
生前から仏になる即身成仏を目指しているので、葬儀の主眼は、御本尊である大日如来（だいにちにょらい）の
密厳浄土、弥勒菩薩の浄土である兜率天（とそつてん）に故人を送る儀式となります。

浄土宗（じょうどしゅう）は、日本の仏教宗旨のひとつで、法然を宗祖とします。本尊は阿弥陀如来（舟後光立弥陀・
舟立阿弥陀）で、教義は、専修念仏を中心としています。浄土宗の葬儀は専修念仏に特色を有し、阿弥陀仏に帰依して
「南無阿弥陀仏」と唱えれば、何人たりとも仏によって衆生から救われるという教義に基づいて行われます。

浄土真宗（じょうどしんしゅう）は、日本の仏教の宗旨のひとつでで、鎌倉時代初期の僧である親鸞が、師である
法然によって明らかにされた浄土往生を説く真実の教えを継承し展開しています。浄土真宗の葬儀の特色は、
故人がこの世の生を終えると、阿弥陀如来に導かれてすぐ極楽浄土に入るとされる、「往生即成仏」という考えから、
他の宗派にある引導作法がない点です。

臨済宗（りんざいしゅう）は、中国の禅宗五家（臨済、潙仰、曹洞、雲門、法眼）のひとつで、日本においては禅宗
（臨済宗・曹洞宗・日本達磨宗・黄檗宗・普化宗）のひとつです。葬儀に関して、臨済宗独自のこれといった特徴は
ありませんが、曹洞宗と異なる点は、山頭念誦と引導法語の順番が入れ替わることが多いことです。

◆基本情報

・宗祖：栄西禅師（千光国師）1141〜1215年

・教典：般若心経・金剛般若心経・観音経・大悲心陀羅尼

・本尊：釈迦牟尼仏・薬師如来・大日如来・観世音菩薩

・お唱え：南無釈迦牟尼仏

・総本山：五山制度のため無し（京五山・鎌倉五山・南禅寺）

曹洞宗（そうとうしゅう）は、中国の禅宗五家（曹洞、臨済、潙仰、雲門、法眼）のひとつで、日本においては禅宗
（曹洞宗・日本達磨宗・臨済宗・黄檗宗・普化宗）のひとつです。故人を悟りの境地に導くことで仏の世界に
入れることが目的となりますので、葬儀の基本は、亡くなった人を授戒させ、仏の弟子にすること、そして引導
することとなります。この引導の考え方は、浄土真宗をを除き、ほとんどの宗派に導入されています。

日蓮宗（にちれんしゅう）は、法華宗（ほっけしゅう）とも称され、妙法蓮華経を依拠教典とし、「法華経に帰依する」
の意である「南無妙法蓮華経（なむみょうほうれんげきょう）」という題目（だいもく）を唱えます。法華経を信じ、
南無妙法蓮華経のお題目を唱えて死んだ故人を、霊山浄土に葬送する儀式が日蓮宗の葬儀となります。
葬儀の特色のひとつとして、師、喪主、弔問客が、題目を唱え（題目三唱）法華経を読誦し、その功徳を故人と
分け合うことがあります。。